View-point がん診療 「肺癌」
肺がんについての臨床的概論
後藤 悌
1
1国立がん研究センター中央病院呼吸器内科
pp.76-81
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200012
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1 診断
肺がんが疑われるきっかけとなるのは、検診、症状、他疾患フォロー中の検査である。肺がん検診の意義については議論があるものの、検診で発見される肺がんは早期のものが多い。進行期とならないと肺がんは症状を呈しにくく、発見が遅くなる傾向がある。これは、肺自体には痛覚がないために、気道や周囲の臓器への影響が出るまで症状が出にくいことが原因である。気道の狭窄が生じたときには、肺炎、無気肺、呼吸苦、咳嗽、血痰、嗄声、胸郭内の大血管では、上大静脈が圧排されることが多く、顔面や上肢の浮腫がみられる。腫瘍が鎖骨周囲の神経に拡がった場合は、前腕尺側の運動ならびに知覚神経障害、頸部交感神経節が侵された場合は、縮瞳、眼瞼下垂、発汗低下(Horner症候群)が生じる。また胸水による呼吸困難で発見される症例も多い。転移がある場合は、その部位に応じた症状が生じる。
肺がんが疑われた場合でも、画像から肺がんの可能性が高くないと判断された際には、CT検査による経過観察が行なわれることもある。肺がんの病理検査には、喀痰検査、気管支鏡検査、CTガイド下生検、開胸生検などがある。
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