特集 どうする!? 健診異常—これってホントに異常なの? どう説明する?
【総論】
❷ 健診・検診の必要性とエビデンス
内藤 俊夫
1
1順天堂大学医学部 総合診療科学講座
キーワード:
検診
,
健診
,
エビデンス
,
アドバンス・ケア・プランニング
Keyword:
検診
,
健診
,
エビデンス
,
アドバンス・ケア・プランニング
pp.762-766
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204865
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Q.健診・検診に対してどのようなイメージをもっていますか?
検診にはポジティブな面がある半面、必ずしもそうとは言えない部分もあります。日本でPETが行われ始めた頃、ある病院で母がPET検診を受け、縦隔にて1cmもないような光る部分が発見されました。結局は全く問題なく、今も元気でいますが、検診後5年ほど、母はそのことが心配で仕方がなく、旅行へ行っても楽しめず、頻繁に通院することになり、いわば社会的な損失を被る結果になりました。このように、1回の検診がその人のQOLを数年にわたって落としてしまう可能性も十分にあるわけです。検診のネガティブな面ですね。
韓国でも同様に、ある日突然、「甲状腺エコーを健診に組み込めばよい」と言い出した人がおり、甲状腺エコー検診が始まりました。結果的に、韓国の若年層に甲状腺癌が数多く見つかり、その多くが摘出術を希望する一方、甲状腺癌による死亡者数は変わりませんでした1)。それは決して国のためにはならず、最終的には検査が中止となりました。医学界では大きなニュースとなり、何かの検診を導入したことで、むしろ問題が増えるという事例として扱われています。
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.