特集 医師のウェルビーイング
【個人で取り組むウェルビーイング】
❸コラム「私の趣味とウェルビーイング」—③音楽
兒玉 末
1
1こだまクリニック
pp.676
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204833
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私は家庭医になるための研修を受け、ある程度の経験を積んだ後、公立病院に勤務して在宅医療の部門を立ち上げた。当時、多い時で100人近い患者の在宅医療を担当して、1人で24時間対応を行い、急性期・亜急性期の病棟患者も受け持ち、外来と救急、地域連携部門の役割も担っていた。病棟や在宅では、治癒や回復が困難な患者、重い障害を抱えて生きる患者や、経済的・社会的困窮者なども多く担当した。「何でも診る」スタンスの自分のところには、そういった多疾患・複雑困難なケースが押し寄せてきた。
なかには、医療の力ではどうすることもできない精神的・霊的苦痛に苦しむ、まだ年齢の若い終末期のがん患者もいた。患者の激しい感情を受け止めながら、何もすることができず、無力感に苛まれた。
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