#総合診療
#書評:神経症状の診かた・考えかた—General Neurologyのすすめ 第3版
宮岡 等
1
1北里大学・精神医学
pp.106
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204646
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評者は精神科医である。精神科医になって3〜4年目の頃、今から約40年も前になるが、身体疾患に起因する意識障害であるせん妄、認知症や統合失調症治療薬による錐体外路症状、心理面の原因で身体症状を呈する転換性障害などに出合って、精神科医もある程度の「神経内科」(現在の脳神経内科)の知識が不可欠であると考えた。当時の私のバイブルは故・本多虔夫先生の単著『神経病へのアプローチ』(医学書院)であった。所属教室の主任教授に頼み、週1回程度であったが、しばらくの間、本多先生のもとで研修を受け、臨床家はこうあるべきという姿勢も学んだ。
それ以後、自分が精神科教員の立場となり、わかりやすいテキストを探しているなか、見つけたのが本書である。著者は初版の序で「遺伝学や生化学などのいわゆる高度医療の側面には触れていない。それらを高速道路建設にたとえると、本書は街中の交通渋滞に対処するものである」、第3版の序では「『街中の交通渋滞対処』が『高速道路建設』に役立つ」、「予断や理屈に捉われないで、患者の症状を観察し、自ら一歩深く考えることが今なお臨床医に求められていると思う」と強調しており、評者が教えられてきた医療観を再確認させられた。
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