特集 海の外へ渡る航行者を診る—アウトバウンドにまつわるetc.
【渡航医学トピックス】
❼マスギャザリング
尾﨑 正英
1
,
忽那 賢志
1
1大阪大学医学部附属病院 感染制御部
キーワード:
マスギャザリング
,
麻疹
,
侵襲性髄膜炎菌感染症
,
COVID-19
Keyword:
マスギャザリング
,
麻疹
,
侵襲性髄膜炎菌感染症
,
COVID-19
pp.1466-1468
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204587
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マスギャザリングとは?
マスギャザリング(mass gathering)とは、「特定の場所で特定の目的のために行われる、多数の人(1,000〜25,000人以上)の集まり」のことで、感染症伝播の危険因子とされている1)。国際的なマスギャザリングでは、さまざまな国からの人々が一堂に会し、その後それぞれが生活している地域へ戻る。そうしたなかで輸入感染症やその地域における希少感染症が持ち込まれることがあり、また各国のワクチン政策や感染症流行状況が異なるために感染症の伝播が起こりやすく、感染症が地理的に拡散する起点となりうる。
マスギャザリングには自然発生のものと、計画的なものがある。自然発生のマスギャザリングには政治的抗議行動、難民キャンプなどがある。計画的なものには宗教行事やオリンピック、FIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップのように、定期的に開催されるものが挙げられる1)。過去のマスギャザリングがどのような健康被害をもたらしたのかを理解することは、将来のマスギャザリングに備えるのに役立つ。臨床医としては、マスギャザリング参加者のリスク評価とリスクの軽減を行えるように備えておけるとよい。まずは実際に、過去のマスギャザリングではどのような感染症が流行したのかを紹介する。
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