特集 海の外へ渡る航行者を診る—アウトバウンドにまつわるetc.
【渡航後の体調不良】
症例❺狂犬病
倉井 華子
1
1静岡県立静岡がんセンター 感染症内科
キーワード:
狂犬病
,
動物咬症
,
恐水発作
,
曝露前ワクチン
,
曝露後ワクチン
Keyword:
狂犬病
,
動物咬症
,
恐水発作
,
曝露前ワクチン
,
曝露後ワクチン
pp.1444-1446
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204578
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Case
フィリピンから帰国後に狂犬病を発症した症例
患者:50歳、男性
主訴:発熱、嚥下困難
現病歴:仕事でフィリピンに滞在中に、イヌに右手首を咬まれた。曝露後の狂犬病ワクチン接種は行わなかった。2カ月半後に倦怠感と右肩甲骨の痛みが出現。数日後には飲水が困難となり、発熱、呼吸苦が出現。発熱、恐水発作、易興奮性、イヌへの曝露歴があることから、狂犬病を疑った。ICUに入室するも、わずかな風量の空調で恐風発作が出現し、苦痛緩和のため鎮静・人工呼吸管理を行った。入院翌日に唾液PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法により狂犬病ウイルス遺伝子が検出され、狂犬病と診断した。入院1カ月後より激しい血圧・脈拍の変動を認めるようになり、多臓器不全により永眠された。
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