特集 “消去法”で考え直す「抗菌薬選択」のセオリー—広域に考え、狭域に始める
【抗菌薬選択クイズⅠ】“消去法”で絞り込む抗菌薬選択
❶頭頸部感染症(鼻副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎)
伊藤 渉
1
,
笠原 敬
1
1奈良県立医科大学 感染症センター
キーワード:
二峰性の病歴
,
BLNAR
,
McIsaac criteria
,
伝染性単核球症
Keyword:
二峰性の病歴
,
BLNAR
,
McIsaac criteria
,
伝染性単核球症
pp.775-779
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204354
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1|「診断」を検証して狭める!
鼻副鼻腔炎
顔面の疼痛や腫脹を伴う鼻汁・鼻閉などの症状で、鼻副鼻腔炎を疑う。咽頭痛や咳嗽など、複数の領域(咽頭や下気道)に症状が随伴する場合は、「感冒(ウイルス性急性気道感染症)」と診断し、抗菌薬は投与しない(p.781・809)。
症状が鼻・副鼻腔に限局し鼻副鼻腔炎と診断すれば、次はウイルス性か細菌性かを鑑別する。「細菌性鼻副鼻腔炎」の特徴は、罹病期間が長いこと(7〜10日以上)、一度軽快した症状が再増悪する二峰性の病歴を示すことなどとされる1,2)。「ウイルス性鼻副鼻腔炎」を疑えば、もちろん抗菌薬は投与しないが、細菌性鼻副鼻腔炎を疑ったとしても、その全例に抗菌薬が必要というわけではない(詳細は後述)。
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.