特集 不定愁訴にしない“MUS”診療—病態からマネジメントまで
【各論Ⅲ】「身体症状症」を見定める
❶身体症状症の診断・治療—原因不明の身体症状に“伴走”する
太田 大介
1
1聖路加国際病院 心療内科
キーワード:
身体症状症
,
MUS
,
不定愁訴
,
心理療法
,
森田療法
Keyword:
身体症状症
,
MUS
,
不定愁訴
,
心理療法
,
森田療法
pp.1358-1360
発行日 2022年11月15日
Published Date 2022/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204035
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Case
動悸のために眠れなくなった女性
患者:50代、女性。会社員。
主訴:動悸、息苦しさ、不眠
現病歴:2カ月前から、息苦しさを自覚するようになった。症状が改善せず不眠もきたすようになったため、当科を紹介受診した。脈拍数90回/分・整、血圧120/70mmHg。胸部単純X線や心電図などに問題はみられなかった。
患者は、動悸・息切れは1日中あり、動悸がすると手足の血の気がなくなっていく感じがすると述べた。疲れた日の夜には症状が悪化し、一方、症状が改善する状況としては、休日のショッピングなどでは動悸を自覚していない時間もあるという。この数カ月間は、職場のスタッフが減り多忙であったことも明らかとなった。担当医は、長期間の疲労で自律神経の働きが緊張状態に傾き、動悸・息切れ・不眠などの各種症状につながることがよくあること、そのため意識的に体を休め気分転換をしていく必要があることを患者に伝え、頓用薬としてクロチアゼパム5mgを処方した。2週間後の診察では、頓用薬は用いず諸症状は改善していた。
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