特集 不定愁訴にしない“MUS”診療—病態からマネジメントまで
【総論】
❶ひと目でわかるMUS
片岡 仁美
1
1岡山大学病院 総合内科・総合診療科
pp.1298-1299
発行日 2022年11月15日
Published Date 2022/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204007
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
- サイト内被引用
医学的に説明のつかない症状や愁訴は、わが国では「不定愁訴」と呼ばれてきた。疾患としての診断基準を満たさない症状や機能障害のうち、前者は「MUS」、後者は「機能性身体症候群(FSS)」(p.1331)と表現される。全体像がつかみにくいMUSを少しでも可視化できたらと考えていた時、岡田宏基先生(宇多津病院 心療内科、p.1328)による概念図1)に出会った。これを、岡田先生にも監修いただき、「ひと目でわかるMUS」として改変して作成したのが右図である(岡田先生の原図はp.1302)。
MUSは、「FSS」と「身体症状症(SSD)」を中心とした多要素を含む概念であるが、重要なのは1人1人の患者さんがどのカテゴリーに属するかを検証していくことであろう。また、MUSには「未診断の器質的疾患」も含まれている。医師側の問題として未診断である場合もあるし、現時点の限界としてまだ診断できない疾患概念もあるだろう。そのことにも、われわれは謙虚である必要があるかもしれない。
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.