特集 —どうせやせない!? やせなきゃいけない??苦手克服!—「肥満」との向き合い方講座
扉
小澤 労
1
,
矢吹 拓
1
1国立病院機構 栃木医療センター 内科
pp.800-801
発行日 2022年7月15日
Published Date 2022/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203798
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日本人の男性の3人に1人、女性の5人に1人が「肥満」とされています(2019年)*。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により“コロナ太り”“在宅勤務太り”といった新たな問題も登場し、その数はさらに増えているかもしれません。
肥満は、さまざまな疾患のリスク因子です。COVID-19の重症化リスク因子にもなっています。ところが、「食べすぎないで」「運動してください」と減量指導をしても、なかなかやせない患者さんを前に「どうしたものか…?」と悩んだことはありませんか? 指導の効果がなかなか出ないと、医師自身に苦手意識やネガティブな感情が芽生えてしまうことも…。
一方、容姿や体型に対する「ルッキズム」が社会問題になるなど、肥満に対する「スティグマ」の問題も見逃せません。肥満は、単に医学的な問題ではないのです。その原因には社会的・経済的格差や遺伝的要因などもあり、単に個人の努力の問題でもありません。
肥満というプロブレムに向き合う時、「体重」や「BMI」という数字だけはなく、患者さんの思いや生活、さらにその背景にまで目を向ける必要があります。そこで本特集では、すぐに活かせるエビデンスに基づく肥満診療を具体的かつ実践的に紹介するに加えて、医療人類学や倫理的観点からも肥満を見つめ直しました。患者さんが抱える複雑な問題を多面的に理解し、みなさんが「肥満」と向き合う一助にしていただけたなら嬉しく思います。
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