特集 「診断エラー」を科学する!—セッティング別 陥りやすい疾患・状況
【セッティングⅢ】一般外来
❷感染性心内膜炎
西口 翔
1
1湘南鎌倉総合病院 総合内科
キーワード:
診断エラー
,
抗菌薬
,
発熱
,
CRP
,
感染性心内膜炎の診断ピットフォール
Keyword:
診断エラー
,
抗菌薬
,
発熱
,
CRP
,
感染性心内膜炎の診断ピットフォール
pp.593-596
発行日 2022年5月15日
Published Date 2022/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203724
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Case
診療所を繰り返し受診した「不明熱」の一例
患者:40歳、女性
現病歴:入院6週間前に発熱を自覚し、近隣診療所を受診した。クラリスロマイシンと鎮咳薬を処方され、解熱した。4週間前に再度発熱を認めたため再診し、ガレノキサシン® 200mgを処方された。そして2週間前、再度37℃台の発熱を認め、当院紹介となった。悪寒戦慄および全身倦怠感あり。う歯の自覚や歯科治療歴は認めなかった。
既往歴:先天性心疾患あり(詳細不明)
身体所見:体温38.3℃。眼瞼結膜出血斑なし。心尖部に収縮期の逆流性雑音を聴取した。
検査所見:血液;WBC 8,100/μL(Neut 87.1%)、CRP 9.8mg/dL。経胸壁心臓超音波;僧帽弁に1cm程度の疣贅を認め、Ⅳ度の僧帽弁逆流を認めた。頭部MRI;塞栓や動脈瘤の所見なし。
経過:入院時の血液培養からα-Streptococcusが検出された。「感染性心内膜炎」の診断で抗菌薬点滴治療を継続した。入院4日目に経食道心臓超音波検査を施行し、僧帽弁前尖に付着物あり、左房後方に逆流所見を認めた。疣贅のサイズは1cmあったが、血行動態は安定しており塞栓所見を認めなかったため、待機的に手術予定となった。その後、合併症なく経過し、入院23日目に疣贅ドレナージと僧帽弁逆流に対する治療を目的として、僧帽弁置換術を施行した。
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