特集 AI時代の医師のクリニカル・スキル—君は生き延びることができるか?
【Ⅰ章】AIの特性と能力
❷医療・ヘルスケアにおける「AI実装」の現状と可能性
川上 英良
1,2
1千葉大学大学院医学研究院 人工知能(AI)医学/治療学人工知能(AI)研究センター
2理化学研究所情報統合本部 医療データ数理推論チーム
キーワード:
説明可能なAI
,
XAI
,
ブラックボックス
,
バイアス
,
知識発見
Keyword:
説明可能なAI
,
XAI
,
ブラックボックス
,
バイアス
,
知識発見
pp.299-302
発行日 2022年3月15日
Published Date 2022/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203632
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近年、医療・ヘルスケアの現場においても、AI技術を目にする機会が増えている。この急速なAIの導入は、2010年以降に訪れた第三次AIブームの一部と考えられる。過去2回あったAIブームでは、コンピュータの性能やデータの不足といった問題があり、現実社会の問題解決につながらなかった。たとえば、1980年代の第二次AIブームでは、専門家の知識をコンピュータに教えるエキスパートシステムが流行したが、現実世界には知識に当てはまらない例外が数多く発生することが問題となった。しかし第三次AIブームでは、「深層学習」をはじめとする技術の進歩により、人間が知識やルールを教えるのではなく、大量のデータからAIが直接パターンやルールを学習できるようになった。Pythonなどの使いやすいプログラミング言語やプラットフォームが整備されたこともあり、さまざまな分野において既存手法を大きく上回るだけでなく、人間と同等もしくはそれ以上の精度を達成している。
医療・ヘルスケアの分野でも、皮膚画像データに基づく皮膚がんの高精度診断1)、光干渉断層撮影装置(optical coherence tomography:OCT)のデータに基づく網膜疾患の検出2)などが開発され、これらの診断技術の一部は、「AI自動診断装置」として米・FDA(食品医薬品局)の認証を得て臨床現場への実装が開始されている。
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