特集 メンタルヘルス時代の総合診療外来—精神科医にぶっちゃけ相談してみました。
扉
藤沼 康樹
1
,
塚原 美穂子
1医療福祉生協連家庭医療学開発センター
pp.952-953
発行日 2021年8月15日
Published Date 2021/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203304
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現代はメンタルヘルスの時代といわれています。それは、現代において、精神障害の予防や治療だけでなく、今まさに進行中のパンデミック下の社会不安、社会的分断等を背景にした増大するストレスや、さまざまな精神的な負荷により生じる幅広い心の問題が注目されているということです。
総合診療外来の場においては、精神疾患を含む多疾患併存や、心理・社会・経済的な複雑困難事例に対応する場面は頻度が多いものです。また、外来で出合う未分化な健康問題は精神疾患がキーと考えられることもあります。漠然とした心の問題に対応する診療も多く、さらに最近は発達障害やパーソナリティ障害と困難事例の関連が指摘されることも多くなっています。
また、精神科以外の診療科においては、健康問題の医学的診断がつけば、治療あるいは対処可能であるという暗黙の前提があり、しばしば診断基準に基づいて「◯項目満たすから、うつ病である」といったDSM等に代表される操作的診断の発想が根深くあるようです。しかし、実際の精神科医療における診断は、それほど単純なものではありません。紹介やshared careの場面で、認識の齟齬が問題になるケースの多くが、そうした診断や治療の基本的な考え方の違いに由来しているという認識が経験上あります。
上記の問題意識から、総合診療外来で出合うメンタルヘルスをめぐる問題に関して、従来「真正面から」は語りにくかった領域について、掘り下げる特集を企画しました。
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