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内分泌疾患は決して稀ではありませんが、医師が積極的に疑って検査をしないと見逃されてしまう疾患が多いのが特徴です。そして甲状腺機能低下症や慢性の副腎皮質機能低下症のように、長年正しい診断がされずにとても苦労された患者さんの話もよく聞きます。糖尿病や高血圧症、肥満や浮腫、多尿や月経異常など、ありふれた疾患や症候の陰に内分泌疾患が潜んでいるため、それを疑い正しい診断への道筋をつけられるかどうかによって、患者さんの予後、特に生活の質(QOL)が大きく左右されます。
またX線CT・MRI検査が普及している日本では、副腎や下垂体の偶発腫もしばしば発見されます。
内分泌疾患は「病歴と症状」「特徴的な身体所見」「一般検査所見」の組み合わせで診断していきますが、「よくある一般的な症状」にも、内分泌疾患が隠れている場合があります。
代表的な例として、低血圧、倦怠感、食欲不振などで内科を受診して消化器系疾患などの精査をしても原因不明な場合は、一度は血清コルチゾールとACTHを同時に測定してみましょう。副腎皮質機能低下症が隠れているかもしれません。したがって、内分泌疾患の特徴を知り、診断や治療のポイントを身に付けることは、非専門の総合診療医にとってこそ重要であり、日々の診療が面白さを増して、充実感をもたらしてくれます。しかし内分泌疾患は、間脳・下垂体疾患から性線疾患まで非常に幅広い分野でもあり、かつ確定診断には各種負荷試験も必要で、総合診療医にとってはなかなか難しく敬遠されがちな領域でもあります。
そこで本特集は、総合診療医に必要な内分泌疾患の総まとめ的な内容を目指し、自身でその常識をチェックできるよう、まずは「実力テスト」にトライしていただき、その後各分野のエキスパートの先生方に各疾患および各検査についてわかりやすく解説していただく形式にしました(“7割正解なら黒帯”というレベルを目指します)。
本特集を読んで、ぜひ日常診療で、積極的に内分泌疾患を疑ったり、また見つけ出してください。

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