特集 肺炎診療のピットフォール—COVID-19から肺炎ミミックまで
【感染性肺炎と紛らわしい病態】
❸膠原病に伴う肺疾患
栗原 健
1
1浦添総合病院 病院総合内科
キーワード:
膠原病に伴う肺疾患
,
CTD-ILD
,
イルネス・スクリプト
,
多発性筋炎/皮膚筋炎
,
PM/DM
Keyword:
膠原病に伴う肺疾患
,
CTD-ILD
,
イルネス・スクリプト
,
多発性筋炎/皮膚筋炎
,
PM/DM
pp.213-216
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203002
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ピットフォールCase
患者:78歳、男性。
主訴:呼吸困難。
現病歴:呼吸困難のため入院。呼吸困難は来院2週間前から徐々に増悪していた。来院時、体温38.2℃、血圧120/56mmHg、心拍数110回/分、呼吸数24回/分、SpO2 90%(2Lカヌラ)であった。血液検査ではWBCやCRPの炎症反応の上昇があり、胸部単純X線写真でも右下肺野に浸潤影があった。これらの結果から、細菌性肺炎と診断し、セフトリアキソンとアジスロマイシンによる加療を開始し、入院となった。入院4日目の血液検査や胸部X線写真では改善がなく、呼吸数やSpO2の改善も乏しく、むしろ増悪傾向になっていた。担当医は上級医に相談し、もう一度診断を見直すこととした。
身体診察のとり直し:両側背部から捻髪音を聴取した。手指を確認すると、機械工の手(図1)やGottron徴候を認めた。病歴を再度聴取すると、1カ月前から徐々に筋痛が出現し、歩行困難となっていた。本人曰く「(筋痛については)聞かれておらず、肺炎と言われたから関係ないと思った」とのこと。すぐに胸部CTを撮影したところ、両側すりガラス陰影(ground glass opacities : GGO)や網状影を認め、病歴や身体所見から、皮膚筋炎による間質性肺炎を疑い、ステロイドを含む集学的加療を行ったが、治療4日目に死亡した。後に判明した血液検査では、抗MDA5抗体が陽性となっていた。
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