特集 診断に役立つ! 教育で使える! フィジカル・エポニム!—身体所見に名を残すレジェンドたちの技と思考
—Heberden結節—関節炎の分類の礎となった身体所見—英国の至極が“情熱あふれる臨床経験の積み重ね”のなかで気づいた
陶山 恭博
1
,
岸本 暢将
2
1JR東京総合病院 リウマチ・膠原病科
2杏林大学医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科
キーワード:
Heberden結節
,
遠位指節間関節
,
DIP関節
,
変形性手関節症
,
狭心症
,
angina pectoris
,
IgA血管炎
Keyword:
Heberden結節
,
遠位指節間関節
,
DIP関節
,
変形性手関節症
,
狭心症
,
angina pectoris
,
IgA血管炎
pp.1340-1346
発行日 2020年11月15日
Published Date 2020/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202867
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Heberden結節は、遠位指節間(distal interphalangeal:DIP)関節における「変形性手関節症」のサインだ(図11))。その名は、英国人の内科医William Heberden(1710〜1801)に由来する。彼はHeberden結節の発見や変形性関節症と痛風とを区別した功績などから“リウマチ学の父”と呼ばれ、英国リウマチ学会(The British Society for Rheumatology)は1936年発足の「The Heberden Society」に起源がある2)。
その活躍は「リウマチ学」に留まらない。日々丁寧に観察した実臨床の経験を、古代ギリシア時代から受け継がれた叡智とあわせ体系化することで、「内科学」の礎をも築いた。かのWilliam Osler(1849〜1919)をして“英国の至極(English Celsus)”と言わしめた人物である3)。もしかすると読者のなかには、「狭心症(angina pectoris)」を最初に命名したことによるエポニム「Heberden's asthma」をご存知の方もいるかもしれない(表14〜20))。
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