特集 下降期慢性疾患患者の“具合”をよくする—ジェネラリストだからできること!
【外来と在宅で診ている下降期慢性疾患】
4.その他の疾患
❶進行したParkinson病に対する薬物療法の留意点
関 守信
1
1慶應義塾大学医学部神経内科
キーワード:
ポリファーマシー
,
精神症状
,
起立性低血圧
,
日中過眠
,
悪性症候群
Keyword:
ポリファーマシー
,
精神症状
,
起立性低血圧
,
日中過眠
,
悪性症候群
pp.717-720
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202654
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Parkinson病は、中脳の黒質-線条体系ドパミン神経細胞の変性・脱落により生じる進行性の神経変性疾患である。日本では人口10万人あたり100〜150人と推定されているが、人口の高齢化に伴い、患者数の大幅な増加が見込まれており、Parkinson pandemicという用語も提唱されている1)。従来は運動緩慢・無動、静止時振戦、筋強剛、姿勢保持障害に代表される運動障害を呈する疾患と考えられていたが、近年、さまざまな非運動症状(精神症状、自律神経障害、感覚障害、睡眠障害、認知症など)を呈することが明らかになっている2)。
進行したParkinson病がどのような状態を指すかは定まった定義はないが、「パーキンソン病診療ガイドライン2018」3)には「パーキンソン病の進行期は、薬効が不安定になり運動合併症が生じた時期、あるいは姿勢反射障害が出現し、仕事や日常生活に支障を生じるようになった時期である」と記載されている。さらに、高度進行期は「薬物療法に反応しない運動症状(すくみ足、転倒、姿勢反射障害、嚥下障害、構音障害など)が出現し、認知機能障害、幻覚・妄想、起立性低血圧、排尿障害、便秘などの非運動症状も重篤化した段階と定義する」との記載がある。
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