特集 下降期慢性疾患患者の“具合”をよくする—ジェネラリストだからできること!
【総論】
❶今なぜ、下降期慢性疾患なのか?
藤沼 康樹
1
1医療福祉生協連家庭医療学開発センター
pp.656-658
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202630
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「下降期慢性疾患」とは?
下降期慢性疾患とは、現時点ではその明確な定義があるわけではないが、COPDをはじめとした慢性呼吸器疾患、慢性心不全、慢性腎臓病などの慢性疾患が徐々に進行し、患者の症状コントロールが難しくなり、外来通院あるいは在宅ケアと入院治療を行ったり来たりするようになる状態のことをいう。下降期慢性疾患をもつ患者は、徐々にそれまで通っていた大病院専門診療科への2〜3カ月に一度の通院が難しくなり、また状態が不安定になってくるため、頻回の受診が必要になる。ちなみに、専門診療科に2〜3カ月に一度の通院で特に問題のない状態は、“安定期慢性疾患”と言ってよいだろう。
大病院の専門診療科は、不安定な下降期慢性疾患患者の頻回受診に適した外来診療システムをもっていない。したがって、そうした患者は、地域の診療所や在宅に「日常的な管理をお願いします」と紹介されることが多くなる。時に「BSC(best supportive care)の方針となっております」と紹介状に記載されていることもある。BSCとなったなら、もはや専門診療科の仕事の領域から外れるので、「地域に戻す」ということは、現代の病診連携のトレンドとなっていると思うし、筆者自身、下降期慢性疾患患者のケアを、診療所外来で行う頻度が増えているという実感をもっている。
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