特集 “ナゾ”の痛み診療ストラテジー|OPQRSTで読み解く
【診断と治療のストラテジー「頭の先から足の先まで」痛みのcase file 14】
胸が痛いし皮疹も出ます
蓑田 正祐
1
1諏訪中央病院 リウマチ膠原病内科
キーワード:
SAPHO症候群
,
皮疹を伴う前胸部痛
,
非外傷性胸鎖関節障害
Keyword:
SAPHO症候群
,
皮疹を伴う前胸部痛
,
非外傷性胸鎖関節障害
pp.396-399
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201999
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Case
10年持続する皮疹、5年持続する胸部痛で受診した1例
患者:糖尿病、高血圧などの既往や、家族歴・喫煙歴のない49歳、女性。
現病歴:約10年前から両手掌、足底部に皮疹が出現し、5年前から右鎖骨付け根付近の痛みを自覚するようになり、改善がないため受診。発熱や全身倦怠感・食欲不振・体重減少などの全身症状や炎症性腰痛の病歴は認めない。痛みの部位(Ⓡ)は右第一胸肋関節に一致し、圧痛と腫脹を認めるが、四肢・仙腸関節含め、他の部位に圧痛や腫脹は認めず、放散痛もない。痛みの性状(Ⓠ)は鈍痛、朝起床時から午前中や、安静から体動時に強く、午後や体動後に軽快する(Ⓟ)。5年前から出現し(Ⓞ)、今日まで増悪・寛解を繰り返して経過している(Ⓣ)。随伴症状/所見(Ⓢ)として、両手掌と足底部に粟粒大の無痛性の一部膿疱化した皮疹を認めるが、眼・消化器症状は認めない。
血液検査:CRP 1.60mg/dL、ESR 44mm/hrと炎症反応が上昇、RF<3.0IU/mL、抗CCP抗体<0.6U/mLであった。MRI脂肪抑制条件で右第一胸肋関節周囲に高信号を認めた。血液培養は2set陰性であった。
関節炎に対してはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を導入し、症状、炎症反応ともに改善を認めた。
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