特集 —あなたのギモンに答えます!—循環器診療のハードルを下げるQ&A31
【急性期外来】
—歩いてきたけど実は重症な心疾患を見逃さない—Q2 「急性冠症候群」を見逃さないためには?
金澤 健司
1
1加古川中央市民病院 総合内科
pp.257-261
発行日 2019年3月15日
Published Date 2019/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201931
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急性冠症候群(acute coronary syndrome ; ACS)は、臨床的に急性心筋梗塞・不安定狭心症を含む病態であり(p.254)、心電図変化・心筋トロポニン変化によりST上昇型心筋梗塞および非ST上昇型心筋梗塞・不安定狭心症に分けられる。前者は早期に冠動脈を再疎通させる治療、後者はリスクに応じた治療と方針が異なるため、外来医師には「ACSかどうか」「どの治療方針が適切か」の判断が求められる。
ACSは、表11)に示す典型的胸痛と表22)の典型的心電図変化がそろえば、診断は容易である。とは言え、症例の重症度は来院方法が「救急車か徒歩か」では判断できないばかりか、ACSの約3分の1に「来院時胸痛」がなく、約半数に「心電図上ST上昇」がないため、診断に悩む症例が多い。すぐそばに循環器医がいない、心エコーがない、心電図判読に自信がもてない、といったいくつもの「ない」のなかで外来診療するわれわれ総合診療医にとって、“歩いてきたけど実は重症なACS”をできるだけ見逃さないためのポイントを、3つの場面に分けて概説する。
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