特集 レアだけど重要な「痛み」の原因─システム1診断学
【「痛み」の診断推論ベーシックス】
「痛み」のシステム1診断のパワーとピットフォール
笹木 晋
1
1藤田保健衛生大学救急総合内科
キーワード:
痛みのOPQRST
,
痛みのある腫瘤
Keyword:
痛みのOPQRST
,
痛みのある腫瘤
pp.998-1001
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200382
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救急外来であれ,内科初診外来であれ,患者さんは「痛み」を主訴にやってくる場合が多い.痛みの部位は頭のてっぺんからつま先までさまざまであり,原因となる臓器も骨や筋肉,心臓や腸など,あらゆる部位が対象となる.また「頭が痛い」とやってきても「心筋梗塞」であったり,「足が痛い」とやってきても「腹部大動脈瘤」であったりと,必ずしも患者さんが「痛い」と訴える部位と,痛みの原因となる臓器が,同じ場所にあるとは限らない.
このように困難を伴うことの多い“痛みの診断”であるが,問診や身体所見など,臨床のわずかな手掛がりをもとに素早く的確な診断を探り当てるのは,内科医としての腕の見せどころである.
「痛み」を攻略するにあたって,まず問診で原因を絞り込んでいくが,OPQRST(表1)に沿って聴取すると,漏れがなく「痛み」について聞くことができる.特に発症が突然であった場合,「破れる・詰まる・捻じれる・裂ける」疾患に絞ることができる(表2).また,身体所見では視診や丁寧な触診によって,迅速に部位を特定できることがある.
本稿では,身体所見を中心に素早く診断ができる疾患と迅速診断のピットフォールについて,Caseを交えながら述べていく.
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