特集 神経難病ケアのコペルニクス的転回
【トピックス─多専門職種チーム(MDT)ケアのために】
MDTのための,神経難病ケアにおける心理サポートと集団アプローチ
後藤 清恵
1
1独立行政法人国立病院機構新潟病院 臨床研究部臨床遺伝心理室
キーワード:
エリクソンの発達課題
,
自己の一貫性
,
問題の外在化
,
意味の限定と解放
,
価値観
,
人生の筋書
,
物語
Keyword:
エリクソンの発達課題
,
自己の一貫性
,
問題の外在化
,
意味の限定と解放
,
価値観
,
人生の筋書
,
物語
pp.252-254
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200151
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難病における心理サポートの必要性
進行性で治癒の見込めない難病患者の療養生活は,連続する機能喪失の中で不安との戦いであり,重篤な病を患う身体と共に過ごす時間でもある.そのため,MDT(多専門職種チーム)による幅広い支援により,その時々の機能を積極的に生かしながら,患者・家族の生活の質(QOL)を高める必要がある.その際,心理的サポートは医療の本質に関わる支援として,家族や医療福祉従事者の疲弊を支える支援として,その機能を果たす.
難病を患う患者・家族は,病気自体と文化的・社会的文脈にある健康志向的価値観の両者により,二重のストレス状況に置かれている.患者・家族への支援方法を検討するには,患者・家族のQOL評価が重要となる.しかし,今までのQOL評価は,客観的な身体機能レベル評価が中心であり,患者・家族の主観的・個別的評価に視点が向けられることは少なかった.近年のPatient Reported Outcome(PRO)による医療アウトカム評価の動きにより,患者・家族のQOLは状況や考え方,価値観により変動する構成体であり,どんな難病であっても適切な支援さえあれば,患者・家族のQOL向上は可能であると考えられるようになり(本特集222頁,大生・中島論文参照),心理的サポートの必要性が再認識された.
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