特集 動悸・息切れ─ヤバい病気の見つけ方 そして見つからなかった時の対処法
【動悸・息切れ症状の標準的マネージメントとプラスワン】
動悸・息切れのある妊婦・婦人科疾患
明城 光三
1
1国立病院機構仙台医療センター産婦人科
キーワード:
過多月経や多量の性器出血による貧血
,
血管運動神経症状
,
妊娠に伴う血液量変化
,
妊娠中の血液希釈
,
妊娠合併症
Keyword:
過多月経や多量の性器出血による貧血
,
血管運動神経症状
,
妊娠に伴う血液量変化
,
妊娠中の血液希釈
,
妊娠合併症
pp.42-45
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200044
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Case
子宮筋腫による重症貧血
さほど稀でなく血色素量(Hb)が2g/dl台となるまで受診しない事例がある.心不全を避けるため輸血は少量ずつ行うのが重要.受診時の出血は多くなかったので,GnRHアナログにより月経を止めるとともに,子宮筋腫の縮小を期待し,その間に貧血を改善し手術療法を行う予定だったが,受診が途絶え,初回時と同様な状態で再受診.すぐに手術を行うことを余儀なくされた症例.
患者:37歳,未経妊.
既往歴:特記すべきことなし.
3〜4年前から下腹部のしこり自覚,徐々に増大あるも忙しくて放置.月経不順で経血量は多かった.
月経開始後5日目に動悸,息切れがひどく,近医受診.Hb 2.2g/dlのため当院紹介.当院受診時,性器出血は少量となっていた.内診で子宮は超新生児頭大で可動性は不良.経腹超音波:最大11cmの多発筋腫であった.胸部X線,心電図,心エコーで左室肥大の所見あり.入院のうえ,赤血球濃厚液を1日2単位ずつ3日間投与.Hb 5.5g/dlとなり自覚症状改善したため,一旦退院とし,GnRHアナログを使用しながら貧血の改善を図り,手術治療の検討を行う予定としたが中途で受診しなくなった.
初診の9カ月後,大量の性器出血と動悸,息切れあり.近医経由で当科受診.Hbは2.8g/dlであり,入院.濃厚赤血球投与し,貧血を改善後手術施行.術式については子宮筋腫核出術も提案したが,より確実な治癒を希望されたため,子宮全摘術となった.病理組織検査では,筋層内や漿膜下の多発子宮筋腫であった.
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