Japanese
English
特集 十二指腸主乳頭と副乳頭の病態に迫る
各論
膵管非癒合の病態と治療
Pathophysiology and treatment of pancrea divisum
西野 隆義
1
,
土岐 文武
2
Takayoshi NISHINO
1
,
Fumitake TOKI
2
1東京女子医科大学八千代医療センター 消化器内科
2土岐医院
1Department of Gastroenterology, Tokyo Women's Medical University, Yachiyo Medical Center
2Toki Clinic
キーワード:
膵管非癒合
,
膵炎
,
膵癌
,
内視鏡的副乳頭切開術
,
副乳頭ステント
Keyword:
膵管非癒合
,
膵炎
,
膵癌
,
内視鏡的副乳頭切開術
,
副乳頭ステント
pp.505-512
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100618
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要旨
膵管癒合不全は,膵管非癒合(PD)と膵管不完全癒合に分類されるが,通常前者を意味することが多い.PDの頻度は,ERCPで0.3~8%に認められ,アジア人種では約1.5%である.PDでは膵炎の合併頻度が高いこと,背側膵管に限局した膵炎の存在や,副乳頭切開術や副乳頭ステント留置により,膵炎発作が抑制されることから,PDが膵炎の成因になるという知見がある.その一方で,膵炎患者におけるPDの頻度と非膵炎患者におけるPDの頻度に差がないというmeta-analysisの知見や,多くのPDが無症状に経過することから,PDが膵炎の成因ではないという否定的な見解もある.最近では,PDと膵腫瘍との関連性を指摘する知見や,PDにおける膵炎発症例にCFTRやSPINK1遺伝子変異が関与するとの報告もある.膵炎症状を有するPDの治療は,まず,内科的保存療法が第1選択であるが,再発性膵炎では,内視鏡的治療や外科的副乳頭形成術を考慮する.
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