講座 最新の消化器CT診断
急性腹症にはCTがファーストチョイス?
山下 康行
1
,
工藤 康一
1
1熊本大学医学部放射線医学教室
pp.284-288
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100501
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急性腹症のときには腹部単純写真が撮られることが多いが,最近ではヘリカルCT,特に造影剤を用いないヘリカルCTによる診断も良く行われている.超音波では多量の腸管ガスのため必ずしも十分な検索ができない場合もあり,後腹膜に埋没した虫垂の同定も困難である.一方CTでは余程痩せた患者でない限りこのような盲点は少ない.さらにCTでは単純X線写真で診断できない尿管結石や虫垂炎,憩室炎等が診断可能であり,膵炎の進行の評価や肝実質の血流変化,イレウスの診断にも威力を発揮する.
ヘリカルCTとmultiplannar reformation画像
ヘリカルCTでは体軸方向に連続したスライスデータが得られるため,薄いスライスデータを重ねることによってボリュームとしてのデータを利用することができる.このボリュームデータを任意の方向に切り出した画像がmultiplannar reformation(MPR)画像である.MPR画像は最も基本的な三次元の技術であるが,他の三次元画像と異なり,再構成画像は忠実にもとのCT値を反映している.特にマルチスライスCTでは一定の領域を薄いスライス厚でスキャンすることが可能である.そのためXYZのどの方向にもボクセルの大きさが等しいisotropic imagingが達成される.ボクセルの大きさがisotropicになるとMPR像においてどの方向の断面でも同じ分解能が得られるため,MPR画像の画質が著しく向上する.
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