連載 始める人と関わる人のための「消化器病理診断の基礎知識」[6]最終回
病理組織標本の特殊染色:適切な選択と解釈
福嶋 敬宜
1
,
野元 三治
2
1ジョンズ・ホプキンス大学医学研究所病理部
2鹿児島大学大学院・腫瘍学講座人体がん病理学
pp.123-130
発行日 2004年1月15日
Published Date 2004/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100382
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
膵管上皮内腫瘍(PanIN)分類(消化器画像2003年5巻2号269―276頁本連載[2]を参照)の修整案に関する話し合いが,2003年8月,ジョンズ・ホプキンス大学の会議室で1日半,ほぼ缶詰状態で行われました.今回の会議ではDr. HrubanをはじめとしたPanIN分類のオリジナル・メンバーに加え日本人の研究者(筆者も含め5名)も参加して行われました.会の概要や具体的な修整案については近く国際誌で発表される予定ですのでそちらに譲りますが,本誌連載に関することでその会議中に感じたことを2つ紹介します.
1つはこれまで本連載で強調してきた病理学的検索に関することです.会議中,日本の研究者が膵管内病変の拡がりを“切り出し図”を基にした詳細な再構築図とともに提示する場面がありました.そうするとどうでしょう.それまで自分たちの経験や意見を主張し続けていた米国の研究者達が急に静かになったのです.彼らは病変の病理学的検索に際して“切り出し図”を作成して考える習慣がないため意表をつかれる思いでもあったのでしょう.病変の立体的理解とその提示は言語の壁も越えて極めて効果的でした.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.