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特集 アルコール性肝障害における結節性病変―画像と病理
序/アルコール性肝障害における結節性病変
Nodular Lesions in Alcoholic Liver Diseases
坂元 亨宇
1
Michiie SAKAMOTO
1
1慶應義塾大学医学部病理学
1Department of Pathology,Keio University School of Medicine
キーワード:
肝細胞性結節
,
アルコール性肝障害
,
ウイルス肝炎
,
過形成性結節
,
多段階発癌
Keyword:
肝細胞性結節
,
アルコール性肝障害
,
ウイルス肝炎
,
過形成性結節
,
多段階発癌
pp.535-536
発行日 2006年9月15日
Published Date 2006/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100193
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肝に認められる肝細胞性の結節性病変には,多様な病変が認められることは,肝臓という臓器の特性とも考えられる.その代表は,治療上も最も重要である癌,すなわち肝細胞癌であり,わが国においては,最も高頻度に認められる病変である.一方,良性腫瘍は肝細胞腺腫であるが,これは稀な腫瘍であり,腺腫からの癌化は,問題となることは少ない.それに対して,腺腫様過形成,異型腺腫様過形成,早期肝細胞癌と呼ばれる一連の病変が,前癌および初期の癌に相当する病変として広く認識されている.そして,ウイルス肝炎,特にC型肝炎ウイルスの持続感染による障害肝は,前癌状態としてこのような多段階的発癌を高率に示すことが明らかになってきている.
以上のような腫瘍性病変に対して,非腫瘍性(反応性)の結節性病変としては,古くから,限局性結節性過形成(Focal Nodular Hyperplasia:FNH),結節性再生性過形成(Nodular Regenerative Hyperplasia:NRH)が知られている.その組織像の本体は,過形成であり,直接的な癌化との関連はないと理解されている.その成因に関しては,いまだ明確ではないが,前者は動脈性血管の異常,後者は門脈系の異常との関連が強く示唆されており,いずれも血流の異常に伴って生じた病変とみなされている.
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