技術講座 ERCP関連手技のコツ―私はこうしている―
第3回 胆管挿管
長谷部 修
1
1長野市民病院消化器科
pp.367-372
発行日 2006年5月15日
Published Date 2006/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100167
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■はじめに
“ERCPの真髄は胆管deep cannulationである”
これは筆者がERCPの手ほどきを受けた嶋倉勝秀・松田至晃両師から教えられ,現在も伝統的に信州大学ERCP班に受継がれているスローガンである.胆管造影ができなかった時のむなしさ,ましてや膵管造影に終わりERCP後膵炎をきたした時の敗北感は耐えがたいものがあり,一方苦労して胆管造影に成功し,ENBDから胆汁が引けた時の喜びは何事にも変えられない満足感がある.ERCPにたずさわる者はこのようなことを幾度となく経験し胆管造影の上達に精進してきたはずである.
しかし現在はdiagnostic ERCPが減少し,最初からtherapeutic ERCPが求められる時代である.医療事故や医療訴訟が絶えない中,失敗や偶発症は許されない.ERCPを教える者は大変である.これからERCPを始める者も大変である.幸いなことはファイバースコープから電子スコープになり上級者の手技を最初からみることが可能なこと,ライブデモや標準化が普及し始め,効率よくERCPを習得できることである.
胆管挿管の方法はERCP開発当初から諸先輩方により報告されてきたが,言葉や文章で伝えがたい微妙なニュアンスもあり,またJFスコープの変化・進歩に伴い胆管挿管法も少しずつ変わってきたと思われる.本稿では筆者の20年間にわたるERCPの経験から胆管挿管方法の基本とコツについて述べてみたい.
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