書評
「—臨床で使える—半側空間無視への実践的アプローチ」—前田眞治【監修】菅原光晴,原麻理子,山本 潤【編】
石合 純夫
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1札幌医科大学・リハビリテーション医学
pp.1415
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202262
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脳卒中を中心とする脳疾患でみられる高次脳機能障害は多彩であるが,移動能力を含む生活機能全般のリハビリテーションに大きな影響を及ぼし,治療を難渋させるものは「半側空間無視」である。半側空間無視は,主に右半球損傷後に起こり,簡単に言えば,身体から見た左側の空間や注目した物の左側とうまく付き合えなくなる症状である。視野障害と違って,頭部や視線を動かして良い状況で起こるため,日常生活のあらゆる場面に困難をもたらす。半側空間無視は,空間性注意の方向性の偏りに,その臨床的表現を顕在化するいくつかの要因が加わって起こると考えられ,そのリハビリテーションには,行動面の多角的な分析と多職種によるアプローチが不可欠である。
本書は,タイトルに「臨床に使える」・「実践的アプローチ」とあるように,まさにリハビリテーションの現場で日々利用できる内容で,5つの章から構成されている。
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