特集 運動異常症をみる—Web動画付録つき
—コラム—アカシジア
菊池 雷太
1
1汐田総合病院神経内科
pp.1425-1426
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200928
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
本誌2016年12月号の表紙でアカシジア患者の写真を掲載した(写真)1)。3枚の写真を巧みに組み合わせ,坐っていることに我慢できず苦悶の表情をみごとに表現している。この写真が掲載された論文は,レイモン(Fulgence Raymond;1844-1910)とジャネ(Pierre Janet;1859-1947)というパリの大物医師2人の共著である2)。ここでは,アカシジア創成期の歴史を整理し,蔑ろにされがちなハシュコヴェツ(Ladislav Haškovec;1866-1944)のオリジナル症例を詳細に検討する。
アカシジアはギリシア語に由来し,1901年ハシュコヴェツにより「坐っていられない」ことを意味する用語として造られた.類似の症候の記載は,1685年のウィリス(Thomas Willis;1621-1675)にまで遡る。ウィリスは著書『The London Practice of Physick』の中で,「寝床につくと,ほどなくして腕と足が飛び跳ね,まるで拷問台にいるかのように眠ることができない」と記載したが,現代的な観点でみるとむずむず脚症候群との鑑別が問題となる。その後1861年ウィットマーク(Theodor Wittmaack;1817-1873),1880年ビアード(George Miller Beard;1839-1883)も同様の報告をし,やはりむずむず脚症候群との鑑別が問題となるが,紙幅の都合上ここでは議論しない。オリジナルであるハシュコヴェツの2症例について検討する。なお,以下の2症例は『Akathisia and Restless Legs』3)より筆者が翻訳・要約した。
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.