Japanese
English
短報
消化性潰瘍治療薬ranitidineによりパーキンソニズム,アカシジアを呈した1例
A Case Who Manifested Parkinsonism and Akathisia Associated with Ranitidine Therapy
諸冨 とも子
1
,
久郷 敏明
1
,
山本 良隆
1
,
早原 敏之
1
,
細川 清
1
Tomoko Morotomi
1
,
Yoshiaki Kugoh
1
,
Yoshitaka Yamamoto
1
,
Toshiyuki Hayabara
1
,
Kiyoshi Hosokawa
1
1香川医科大学精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Kagawa Medical School
pp.865-868
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903098
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
■はじめに
消化性潰瘍治療薬であるH2-blockerは,ヒスタミン類似の構造をもち,上部消化管出血,胃酸過剰分泌に,従来の薬物にない画期的な作用を示すため,本邦でも導入後急速に浸透し,広範に使用されている。この系統の薬物は,従来は脳血液関門を通過しないと考えられてきた8)。しかし近年,使用頻度に比し稀ではあるが,中枢神経系副作用の報告が散見されるようになった。そのような副作用として報告が多いのは,せん妄や抑うつ状態である3,15,19)。
今回筆者らは,H2-blockerであるranitidine投与中に,パーキンソニズム,アカシジアという従来の報告では稀な症状を呈した症例を経験した。本剤による中枢神経系副作用に関しては,わずかに抑うつを伴うパーキンソニズムを示した増田ら7)の症例が報告されているにすぎない。治療上示唆に富む症例と考え,経過の概要を報告する。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.