Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
近年,多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の治療薬の開発はめざましいものがある。特に再発予防薬であるdisease modifying drug(DMD)の分野では,第Ⅱ相,第Ⅲ相臨床試験の結果が毎年のように一流誌に掲載されている。そのいくつかは,欧米において市販の申請がなされ,使用が可能になっている。一方,日本では,2011年秋まで,DMDとして保険適用されていたのは2種類のインターフェロン(interferon:IFN)製剤だけであったが,昨年,ようやく3種類目のDMDであるフィンゴリモド(fingolimodもしくはFTY720)が市販された。少しずつではあるが,日本でもDMDの分野を中心に治療の選択肢が広がってきている。
欧米では2012年はMSの治療薬にとって画期的な年になるといわれており,数種類の再発予防薬が認可を目的に申請,もしくは申請が計画されている。今後,そのうちのいくつかは,日本においても臨床試験が行われる可能性があり,今後DMDを中心に,治療法が劇的に変わる可能性がある。このようにMSの治療の選択肢がますます増えてくることが予想されることから,本稿では,DMDをはじめとする最近のMS治療薬と,近い将来使用できる可能性のある薬剤を中心に解説していきたい。
Abstract
The treatment of multiple sclerosis (MS) has been remarkably progressed, especially in disease modifying therapies (DMTs). Recently, fingolimod, a novel oral DMT, was added to treatment options for relapsing-remitting MS (RRMS) in Japan. In Western countries, more kinds of DMTs are available for treatment for RRMS. Further, clinical trials on many drugs including DMTs are on-going, and the arrival of multiple options for MS is promising. This article reviews the recent progress in current therapeutic strategies for MS and the potential options for future MS treatments.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.