書評
「しびれ,痛みの外来 Q&A―脊椎脊髄外来の疑問に答える―」―井須豊彦●編著
寺本 明
1,2
1日本医科大学大学院医学研究科
2日本医科大学脳神経外科
pp.181
発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100846
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不思議な本が出た。『しびれ,痛みの外来 Q&A』(中外医学社)という。編著者の井須豊彦先生は,わが国の脊椎脊髄外科の第1人者である。執筆者は,井須先生の専門分野の仲間やお弟子さんたちであり,それぞれ脊椎脊髄外科の最前線で活躍している方ばかりである。
何が不思議かというと,本書はいわゆる教科書や成書ではなく,一般啓発書でもなく,かといって井須先生の診療経験録でもない。基本骨格は,患者が外来などでよく疑問とする事項に関して医学的な解説をしている部分である。ここは各エキスパートが客観的に必要事実を記述している。そして,そのすべての項目の末尾に「神経外科医のつぶやき」として井須先生のコメントが紹介してある。このコラムは永年,脊椎脊髄外科を手がけて来られた先生の本音であり,短い言葉ではあるが見逃してはならない臨床医の極意が秘められている。筆者は井須先生と同年輩であり,やはり下垂体外科という1つの道を専攻してきたので,分野や疾患は違え共感するところは極めて多い。井須先生のある程度まとまった話は「Coffee Break」として,またキーとなった大切な人との出会いは「コラム教科書」として随所にちりばめてある。
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