書評
これが私の手術法 脊椎脊髄手術―基本的手術手技からオリジナル手術まで―井須豊彦●編著
白石 建
1
1東京歯科大学市川総合病院整形外科
pp.163
発行日 2008年2月25日
Published Date 2008/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101227
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本書は,私を含めた多くの脊椎・脊髄外科医が尊敬し,この分野の世界的第一人者である方の筆によるものでありながら,これまでに出版された権威ある手術書とは趣の異なった大変ユニークなものです.序文では,本書に記載されていない術式をその理由とともに明らかにしていますが,脊椎・脊髄外科医が日常の診療で遭遇する疾患の診断と治療法は基本から応用まで,ほぼすべて網羅されています.しかも,その内容の1つひとつが自身の経験に基づく,詳細を極めたものであり,これまでに筆者が実感し,確信したこと以外は徹底的に排除されています.各術式の症例数と合併症を含めた手術成績も提示され,筆者がこの手術書を執筆する目的,勇気,責任感の強さを明確に物語っています.各術式についてのきめ細やかな記述は,初心者でも十分に理解できる平易な言葉で書かれていて,かつて発展途上であった自身の視点を今も忘れずに持ち続けている筆者ならではのものと感じます.特にイラストは質・量ともにすばらしく,術式の詳細がさらに理解しやすくなっています.完成に至るまでに筆者とイラストレーターとの間で行われた妥協なき戦い?をうかがい知ることができます.
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