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胸部大動脈瘤の破裂は死亡率が高い病態であり,術後合併症も多い1).治療としては,救命目的の緊急手術が必須である.本邦のガイドラインによると,基部から弓部にかけての大動脈瘤破裂の治療は開胸手術が標準であり,破裂部位を含む瘤化した大動脈すべてを人工血管に置換することが望ましいとされている.実臨床では,術前の血行動態や呼吸状態,併存疾患の有無,年齢,さらに術中の所見などにより大動脈の置換範囲を勘案するべきである.胸部大動脈瘤の破裂に対して,胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)2,3)あるいは開胸手術とTEVARを組み合わせたハイブリッド手術の報告4,5)も存在するが,上行から弓部大動脈に及ぶ範囲にTEVARを行う場合には,頸部分枝への血流を維持する必要がある.また,エンドリークが生じた場合,破裂部位から出血にいたる可能性も考慮する必要がある.術前の血行動態が破綻している場合,または悪化しつつある場合にはただちに体外循環の開始,あるいは早急な開胸による破裂部位の用手圧迫などが求められる6).近年では,TEVARによりいったん出血のコントロールを行った後に開胸手術にいたる方法7)も報告されている.基部や上行大動脈瘤の破裂では,TEVARの解剖学的制限により開胸手術が第一選択となる.一方,弓部や下行大動脈瘤の破裂に対するTEVARでは,本邦のガイドライン推奨クラスはそれぞれⅡa,Ⅰである.
Ruptured thoracic aortic aneurysm carries significant morbidity and mortality requiring emergent repair for lifesaving. Open repair has been the standard option of treatment;however, TEVAR has evolved as a first-line treatment option for cases in whom specific anatomical conditions are deemed to be suitable for this intravascular repair. As for ruptured aortic aneurysm, it is particularly important to evaluate the appropriate range of treatment with a device by preoperative computed tomography (CT) scan.
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