特集 糖尿病と外科—併発症治療の最前線
Ⅱ各論
コラム
糖尿病患者に対する医科歯科連携推進の課題
大森 一弘
1
,
髙柴 正悟
2
1岡山大学病院 歯周科
2岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 歯周病態学分野
キーワード:
歯周病
,
糖尿病
,
医科歯科連携
Keyword:
歯周病
,
糖尿病
,
医科歯科連携
pp.295-298
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200396
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本文
「歯周病は糖尿病の6番目の合併症である」と『糖尿病治療ガイド』1)に記載され,糖尿病専門医を中心に歯周病治療の必要性が認識され始めている.また,世界に類を見ない超高齢社会を迎えたわが国において,周術期医療における口腔感染管理や在宅・高齢患者に対する口腔ケアの実践等の医科歯科連携医療の推進はますます望まれている.
口腔は消化管の入口であり,重要な臓器の一つである.しかし,世界の状況と比較し,団塊の世代を中心とした日本人の口腔の健康に対する意識は低く,口腔状態の悪い患者が多い.その背景には,保存困難な歯はすぐに抜歯して,「金属の詰め物や被(かぶ)せ」,「義歯」といったリハビリテーション(機能回復)に傾倒した歯科医療が推進されてきた過去がある.その結果,口腔疾患の病態や他の臓器に及ぼす影響を考慮せず,「口腔(歯科)」と「全身(医科)」を切り離して扱う文化になったと考える.しかし,近年,歯周病が全身疾患(主に糖尿病)の病態に影響を及ぼすと考える「歯周医学(periodontal medicine)」の概念が提唱され,口腔疾患と全身疾患の相互作用に改めて注目が集まっている2).本概念は,「消化器官としての口腔」の重要性を再認識させ,歯周病の病態を再考させる非常に重要なものとなっている3).
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