Perspective◆展望
脳を守って人生をゆたかに
赤井 裕輝
1
1東北労災病院 糖尿病代謝センター
pp.617-618
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200207
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脳血管障害は糖尿病患者の死因第1位の悪性腫瘍,第2位心疾患に僅差で続く第3位で,糖尿病患者死因の約10%を占める.しかし直接死に至らなくとも,いったん脳卒中を起こした患者は半身麻痺等の運動障害,発語障害,嚥下障害などにより生活の質(QOL)が著しく低下する.脳卒中が死因にはならずに肺炎で死亡した症例も,実は脳梗塞後の誤嚥性肺炎であることは少なくない.自宅での生活が困難になり,長期療養型病床での生活を余儀なくされることもしばしば見受けられる.昨日まで健康人として生活していた糖尿病患者の人生を一変させてしまうのが脳血管障害である.虚血性心疾患に比し患者QOLに与える影響が非常に大きいように思われる.家族の介護の負担を非常に大きくするのも脳卒中の後遺症である.
糖尿病性腎症が進展し,腎不全期に入ると急激に大血管障害が増加することも,UKPDS研究で明らかにされた.地下茎でつながるように,細小血管障害が大血管障害と深く関連している.糖尿病治療につきものの低血糖も重症の場合,脳に後遺症を残すことがある.
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