海外文献紹介
BOT療法で,低血糖になるのはどんな症例か?
細井 雅之
1
,
上野 宏樹
1
,
川崎 勲
1
1大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター 糖尿病内科
pp.345-347
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200135
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
低血糖は血糖降下療法の最大のリスクです.低血糖があると,達成しうる血糖コントロールレベルが限られてしまい,QOLに影響を与え,意識消失,入院加療となってしまいます.疫学調査では,低血糖を起こした者では,心血管イベント,がん,死亡といった広範囲なリスクが上昇すると報告されています.そのため,重症低血糖,非重症低血糖を起こす患者臨床像を把握することが重要となります.心血管リスクをもった耐糖能異常者を,平均6.2年間インスリングラルギンを用いた治療か標準治療をするかというORIGIN(Outcome Reduction with an Initial Glargin Intervention)試験の結果が2012年に発表されました.グラルギン治療群では,心血管イベントや発がんには影響はありませんでした.絶対数は少ないものの,低血糖はグラルギン投与群のほうが標準治療群より多く起こっていました.重症低血糖,非重症低血糖の頻度やどういった患者で低血糖が起こるかといった解析結果が今回発表になりました.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.