特別企画 Masters' Case File◆心に残った症例
忘れえぬ患者―その2
平尾 紘一
1
1医療法人社団 一洋会H.E.Cサイエンスクリニック
pp.483-484
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101763
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1回目はMさんのお話を書きました1)が,今回はTさんの話です.患者さんは私の妻と同じ年,ご主人も私と同じ年です.Tさんが私のところに来院したのは昭和48年でした.11歳で1型糖尿病を発症し,22歳で結婚しました.日本では当時1型糖尿病の患者が子どもを生むことはご法度でした.3度の妊娠出産に失敗しましたが,最後の流産した子どもが五体満足だったので,なんとしても子どもがほしいと私の診療所を訪れました.
外国では1型糖尿病でも血糖コントロールが良好であれば妊娠出産は可能といわれていたので,とても信頼している産婦人科医のN先生に相談したところ,「やってみましょう」との言葉をいただき,私も決意しました.
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