特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XII.心身症・精神科
3.うつ病の見分け方
うつ病
冨永 一
1
1国立東京第一病院・精神科
pp.1445-1447
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204344
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症例から
26歳 男 今回もそうだが,3年前梅雨どきに後頭部が重くなり,当院内科で血圧が高いといわれ,そのおり精神科でも診てもらった.畳職を62歳の父親とともにしていたが,3日前から仕事を休んでいる.人とあまり話したくなく,おっくうかと聞くと,何か仕事がはかどらず,頭から顔にかけぼおっとしていておかしい.こういうふうになってもう2カ月ほどたつ.とくにそうなる原因は考えられぬ.両親や兄は,気持だ気持だというが,すっきりしない.天候でもよくなればと思っていたが,よくならぬ.ひどいと世のなかがいやになってしまう.
夜はだいたい眠れ,食事はさしてうまくはない.生後半年目にかかったという大腸カタルのほか,とくに病気はしていない.酒もタバコものまず,同胞7人の6番目で3男.未婚.
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