特集 内科診療にガイドラインを生かす
神経・精神疾患
うつ病
宮岡 等
1
1北里大学医学部精神科
pp.296-298
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107120
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日本におけるうつ病と双極性障害を加えた気分障害患者数は1996年には43.3万人であったのが,2008年には104.1万人となった.2011年には95.8万人とやや減少傾向に見えるが,2011年は東日本大震災の年であり,「宮城県の一部と福島県を除いた」データであるため,現時点では減少していると理解しないほうがよいであろう1).うつ病が統計上,なぜ増加したかについては「ストレス社会になった」「精神疾患に対する社会の偏見が軽減し,受診しやすくなった」といったことなども関係していようが,「うつ病と診断される範囲の広がり」も大きな理由である.その背景には,「うつ病には抗うつ薬が効く」と宣伝する製薬会社の販売戦略や,医師への偏った啓発活動によって,“うつ病の診断方法は知っているがそれ以外の精神疾患に関する知識のない医師”が安易にうつ病と診断する傾向などの影響も無視できない.
本稿では,「内科医がうつ病ガイドラインを用いる時の留意点」を述べる.
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