特集 Brush Up! CDE Caseで学ぶインクレチン
Ⅱ各論
Caseで学ぶ! インスリンとの併用療法
高池 浩子
1
,
中神 朋子
1
,
内潟 安子
1
1東京女子医科大学 糖尿病センター
キーワード:
①DPP-4阻害薬
,
②インスリン療法
Keyword:
①DPP-4阻害薬
,
②インスリン療法
pp.272-276
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101499
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はじめに
インスリン療法は最も確実に血糖を低下させるが,低血糖のリスクや体重増加,また頻回注射による患者の負担も懸念される.血糖コントロールが不十分な状況でも安易にインスリン量の増量や注射の回数を増やせないことも少なくない.2011年9月,インスリン製剤とDPP-4(dipeptidyl peptidase-4)阻害薬シタグリプチンとの併用が保険適用となり,臨床の場でインスリン療法およびシタグリプチンの使い勝手の幅が広がっている.
DPP-4阻害薬は消化管由来のインクレチンホルモンであるGLP-1(glucagon-like peptide-1)およびGIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)のDPP-4による不活化を阻害して2つのインクレチン血中濃度を上昇させ,インクレチン作用を増強する.インクレチンは食事の摂取による血中グルコース濃度依存的に内因性インスリン分泌を促進し,グルカゴン分泌を抑制することで血糖改善作用を発揮する.
DPP-4阻害薬は単独で使用する場合には低血糖のリスクが少なく体重増加をきたしにくい1)が,インスリン製剤と併用することによってインスリン療法の最も深刻な副作用である低血糖頻度や体重を増加させることなく,血糖コントロールを改善することができるのだろうか? 当センターでの特徴的な症例を紹介しつつ,両者の併用の意義を再考していきたい.
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