特別企画 Master's Case File◆心に残った症例
私の糖尿病の教師というべき患者
平尾 紘一
1
1医療法人社団一洋会 H.E.Cサイエンスクリニック
キーワード:
不安定型糖尿病
,
患者教育
,
ナラティブ
,
患者会
Keyword:
不安定型糖尿病
,
患者教育
,
ナラティブ
,
患者会
pp.98-99
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101453
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症例M.1918年1月19日生まれ,男性.
私は1968(昭和43)年に医学部を卒業し,市中病院へ短期間のつもりで赴任した.そこで,消化器症状の強い(食欲不振,嘔気,嘔吐など)患者に出会った.はじめは,胃カメラ,肝臓の検査などをしたが異常がなく,その7日程度後,意識が朦朧となった.私の尊敬している上司に相談したら「それは糖尿病性昏睡だろう」という助言であった.当時は血糖もすぐには測れず,尿糖と尿ケトン体のみで,速効型インスリンを大量(100単位ずつ)静注と筋注した.尿ケトン体と尿糖が消失し始めた頃,ブドウ糖とカリウムを補給しながら何とか一命を取り止めた.
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