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特集 健康食品にどう対応するか―スタッフと患者の思い
Ⅴ健康食品,私はこう指導する
―先生,実は飲んでるんです!―サプリメントは血糖を下げるのか:豆鼓エキスとα-リポ酸に関する自験例
Two cases that taking "supplements" might affect serum glucose levels
中西 修平
1
1広島大学病院 内分泌・糖尿病内科
キーワード:
①豆鼓エキス
,
②α-リポ酸
,
③血糖値
Keyword:
①豆鼓エキス
,
②α-リポ酸
,
③血糖値
pp.57-59
発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101290
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はじめに
日本における糖尿病患者は増加を続けており,その原因として食生活の欧米化や運動量の減少が深く関与していると考えられている.厚生労働省が発表した平成19年の国民栄養・健康調査結果では,HbA1c(JDS値)が6.1%以上または糖尿病で治療中の人すなわち“糖尿病が強く疑われる人”は約890万人,5.6%以上6.1%未満の“糖尿病の可能性を否定できない人”を合わせると2,210万人に上り,調査のたびに増加している.
こうした背景からか,“血糖値が気になる方へ”と広告している特定保健用食品をしばしば見かける.現在,血糖値に関する特定保健用食品“トクホ”としては,“食後の血糖値の上昇を緩やかにする”表示をした食品が該当する.これらは難消化性デキストリン,グァバ茶ポリフェノール,豆鼓エキスなどを含んでいる.
一方,トクホではないが,いわゆる健康食品としてα-リポ酸が使用されている.α-リポ酸は生体のエネルギー産生反応における補酵素として働く含硫化合物で,細胞のミトコンドリアに存在するビタミン様物質である.抗酸化物質であるため,一般的に“疲労回復作用”,“ダイエットによい”,“抗糖尿病作用”,“抗加齢作用”があるなどといわれているが,近年α-リポ酸の低血糖の報告が認められており,原因不明の低血糖症状で一般内科に来院するケースもあり得る.
本稿では,外来加療中の糖尿病患者の血糖コントロール改善時に豆鼓エキス摂取を,低血糖で紹介された患者を精査中にα-リポ酸摂取を,ともに患者自身から告白された自験例を紹介し,外来診療において健康食品にどう対応するかを考察したい.
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