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特集 シンポジウムI.皮膚の病態生化学
皮膚のリポ酸代謝
LIPOIC ACID METABOLISM IN THE SKIN
麻生 和雄
1
Kazuo ASO
1
1千葉大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Chiba University School of Medicine
pp.1163-1168
発行日 1965年11月20日
Published Date 1965/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204226
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I.はじめに
放射性リポ酸(以下LiA35Sと略)投与後尿中LiAの代謝物をしらべてみると第1図のごとく微量の遊離LiAをふくめて約11種の代謝物がみとめられる。このクロマトログラムの濾紙を20等分し,各部の放射能の強さを測定してみると第2図のようにRf0.05〜Rf0.1までに全体の18%,Rf0.55〜Rf0.8までのものが全体の38%であり代謝物のうちでRf0.1物質とRf0.66およびRf0.72物質の3者が主要な代謝物であることが明らかである。これらのうちFf0.72物質は教室で単離したF1物質に,Rf0.1物質はそのpolymerであると考えられる。F1物質はLiA要求菌であるStreptococcus 10Cl(以下St. f. 10Clと略)およびCorynebacterium bovis(以下Corynebact bovisと略)に感応し,したがつてLiA活性を有するLiA誘導体である。LiA投与後皮膚にみられるもの(肝においても同様であるが)あるいは皮膚homogenateに添加後の生成物も主としてF1およびそのpolymerであつた所から,この様なLiA誘導体の生成機構がLiAの生体内作用に通ずると思われる。
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