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はじめに
GLP-1(glucagon-like peptide-1)は小腸遠位部~大腸を中心に存在するL細胞から産生される消化管ホルモンであり,糖尿病治療への応用が模索されてきた.しかし,血中半減期は極めて短く〔分解酵素DPP-4(dipeptidyl peptidase-4)により速やかに分解される〕,そのままの形では薬剤としての臨床応用は不可能であった.最近,血中半減期の長いGLP-1受容体作動薬が相次いで開発され,現在,エキセナチド(exendin 4, Byetta®), リラグルチド(Victoza®)が承認されており,さらに数種類の作動薬が申請~開発中で,血中半減期の長いものでは7~14日に1回の皮下注射で毎日の血糖コントロールを改善し得るものも存在する1).
GLP-1は全身のGLP-1受容体に結合し,細胞内cAMPの上昇を介して様々な生理活性を発揮する.GLP-1受容体は,膵島細胞だけではなく,中枢神経系,肺,心臓,腎臓,消化管などにも存在しており,その膵外作用が数多く報告されている.GLP-1受容体作動薬の血糖改善作用には膵島細胞によるインスリン分泌促進作用のみならず,複数の膵外作用も少なからず貢献している.さらに,GLP-1受容体作動薬の膵外作用には直接あるいは間接的に心血管イベントリスクの軽減に関わり得る作用も存在するため,その作用機序を理解することは重要である.Box 1に,GLP-1およびGLP-1受容体作動薬の膵外作用が心血管合併症進展機構に与える効果について示した2).
本稿では,GLP-1受容体作動薬の糖尿病治療薬としての役割のなかでもその膵外作用に焦点を絞って概説する.
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