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Discussion●対談
インスリン治療と癌のリスク―疫学研究をどう評価するか
Insulin therapy and cancer risk:Evaluation of epidemiological cohort studies
大橋 靖雄
1
,
石井 均
2
1東京大学大学院医学系研究科生物統計学
2天理よろづ相談所病院内分泌内科
pp.113-123
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101029
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2009年6月「Diabetologia」誌にインスリングラルギン(ランタス®)と癌の関連性を検証した4本の論文(Tips 1)が掲載され,大きな議論を呼びました.論文の統計学的手法を批判するもの1,2),癌という重大な問題のサインは無視できず,さらなる研究が必要であるとするもの3),グラルギンと癌の関連を否定するもの4,5)などさまざまな研究が報告されています.この話題は同年10月のEASD(European Association for the Study of Diabetes;欧州糖尿病学会)でも,“Diabetes therapy and cancer”と題するシンポジウムで取り上げられました.
論文の発表後,EASD,ADA(アメリカ糖尿病学会),日本糖尿病学会などの各団体は,患者さん向けに,自己判断でインスリンの注射量を変更したり使用を中止したりせず,不安を感じる場合は主治医に相談するよう声明を出しています.しかし,われわれ臨床現場を担当するものは,これらの論文をどう評価し,どのように患者さんに説明すればよいのか,大変悩んでいます.
疫学・統計学をご専門にされ,特に癌の領域でさまざまなお仕事をされている大橋靖雄先生にお話をお伺いしたいと思います.
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