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特集 糖尿病こころと行動のキーコンセプト
糖尿病患者のセルフケアに「認知的再体制化」をどのように生かすか
How can one make use of “Cognitive Restructuring” for self-care among diabetes patients?
金 外淑
1
1兵庫県立大学看護学部心理学系
キーワード:
①セルフケア
,
②認知再体制化
,
③認知モデル
,
④介入の仕組みづくり
Keyword:
①セルフケア
,
②認知再体制化
,
③認知モデル
,
④介入の仕組みづくり
pp.429-435
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100976
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認知的再体制化によく用いられる認知モデル
認知の再体制化は「認知的再構成法」とも訳され,心理的問題の原因と言われる考え方の誤りや歪み(思い込み,不合理な信念)などの反応の仕方に焦点を当て,くり返し現れる不適応行動や情動反応を直接的に改善していく心理技法である.臨床でよく用いられている認知モデルは,エリスの「論理情動行動療法」や,ベックの「認知療法」であり,認知行動療法の心理的治療技法を併用することが一般的である.
論理情動行動療法(rational emotive behavior therapy)では,不合理な信念(irrational belief)を変容させることを治療の目的としている.患者自ら不合理な信念に気づき,それらの考え方によって生じる信念を合理的な信念(rational belief)に置き換える.治療場面では,悩みのきっかけとなるストレスフルな出来事や経験,思い込み,その結果として起こるネガティブな感情をABC図式に定式化し,「すべきである」,「ねばならない」といった不合理的な考え方を意図的に変容させていくのである1,2).
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