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「隠れ糖尿病」を見つける尿中ミオイノシトール検査
小谷 和彦
1
1自治医科大学臨床検査医学
pp.175
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100933
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日常の糖尿病診療では,細小血管や大血管の障害をはじめとする合併症の発症予防は一つの目指すところとなっています.また,わが国においては,20歳以上で糖尿病が強く疑われる人は約890万人,糖尿病の可能性が否定できない人は約1,320万人と,合計で約2,210万人,すなわち5人に1人は糖尿病の可能性があるとされています(2007年国民健康・栄養調査).5年前の同調査結果から,それぞれ,実に150万人,440万人増にあります.糖尿病そのものの発症予防も重要性を増しています.こうした背景を受けて,できるだけ早期の段階の,いわば“隠れ糖尿病”をも捉え,生活習慣の改善を早期に支援することは,方策の一つとして求められています.
以前から,ミオイノシトールは糖尿病症例の尿中に大量に排泄されること,また耐糖能異常の検出に尿中のミオイノシトールを評価することの有用性は指摘されてきました.しかし,なかなか臨床検査ベースで普及し得る測定方法がありませんでした.ところが,最近,この状況が打破されました.上に掲げた論文中には,ブドウ糖負荷試験(OGTT)前後の尿中ミオイノシトールを新規測定法で観察することによって,糖尿病や糖尿病予備群(“隠れ糖尿病”)を検出できるかどうかの検討結果が記載されています.
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