期待される最新研究
PanINの早期播種(early dissemination)と隠れ転移(stealth metastasis)
山口 淳平
1
,
國料 俊男
1
,
江畑 智希
2
1名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍外科学 講師
2名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍外科学 教授
pp.33-37
発行日 2022年3月31日
Published Date 2022/3/31
DOI https://doi.org/10.34449/J0118.02.02_0033-0037
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年,がんの播種・転移は比較的早期がんの段階で起きることが明らかとなりつつある。この早期播種の詳細を明らかとするために,我々は遺伝子改変マウスモデルを用いて膵がん細胞の転移時期とその去就について研究を行ってきた。その結果,膵がんにおいては良性腫瘍細胞(pancreatic intraepithelial neoplasm:PanIN)の段階で全身播種が起こることが明らかとなった。驚くべきことに,他臓器に転移したPanIN細胞は宿主臓器で分化転化を起こして傍目には認識できない状態となり,またPanIN細胞は転移した後に悪性化して転移巣を形成することが示唆された。当研究グループでは,この特殊な転移形式を「隠れ転移(stealth metastasis)」と名付け,臨床診療に応用すべく現在も誠意研究中である。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.